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  • 執筆者の写真松崎 丈

カンゲキ備忘録【演劇】『Gathering and seven of wizard』

とき:2019年12月20日(金)

ところ:下北沢スターダスト

ENCOUNTER feat. Like a Galaxy with ちょっかい王

『Gathering and seven of wizard~導かれし7人の魔法使い~』

 

 この日はマチソワはしごで観劇。

 ご一緒したのは昼夜ともにリュウ氏。


 さて本公演、タイトルも団体名も長くて覚えられない…。

 が!!!

 面白いっ!!!!!

 まあ、ストーリーはさて置いて、というか置いとかないと支障をきたすので。


 とにかく役者さんのクオリティが非常に高い!!!


 イベントスペースのような箱なので、照明も音響も充分とは言えない中で、ひたすら芝居で魅せるしかないわけだが、その芝居が実に小気味よい。

 まずテンポが良い。「応酬」という言葉がぴったり。

 テンポが良く言葉も粒だってはっきり聞こえると、「いやあ、よくこんなに上手に言えるなあ」と感心するのが常だが、感心している暇も与えてくれないくらい、次から次へと台詞が飛んでくる。それはもう、卓球のラリーを見ているようなのだ。そして巧者のラリーは一度見始めると目が離せないように、ずっと引き込まれて抜け出せなくなる。

 そしてこの馬鹿さ加減!もちろんいい意味で。

 本当に真剣に馬鹿をやっている感じがたまらなく心地よい。


 馬鹿には「馬鹿」はできない、利口は「馬鹿」をやらないとよく言うが、「馬鹿」をやるにはその間を行く絶妙な感覚が必要なのだろう。

 まさに「名人は危うきに遊ぶ」といった感じだ。


 もったいつけるわけでもなく、もちろん卑屈になるわけでもなく。

 そこに感じるのは「馬鹿」をやるプライドだ。

 このプライドがなくてはただ下卑ただけの変な芝居になってしまう。

 この公演の演者たちには「馬鹿」をやる誇りを感じる。だから安心して笑っていられる。

 とにかく「楽しんでもらいたい」という熱い気持ちが伝わるのだ。

 そして「遠慮なく楽しませてもらいます」と乗っかる気持ちにさせてくれる雰囲気作りも嬉しいのだ。


 芝居を観た後で考えさせられるようなメッセージ性のある芝居も嫌いではないが、とにかく「楽しかった!」という感覚が皮膚に残る芝居も捨てがたい。そして往々にして人間の中に長く残るのは、そのような場の空気に対する感覚的な記憶なのではないか。

 選曲も良かった。そして歌声も良かった。

 音選びは作り手の感性が本当によく現れるが、「やりたいようにやりました」では観る者と一体化できない。

 ある程度、観る者を想定しながら音楽が選ばれているのがよく分かった。

 それはその曲を知っているかどうかではなく、リズムとして共有できるようになっていたと思う。

 事実、僕はあまり日本の音楽を聴かないので、出て来た曲はほとんど知らないが、ちゃんと楽しむことができた。

 もし自分の中にあるなんらかのコンプレックスや迷いがこれとは違った形だったとしたら、それを誰かと共有することができたとしたら…、とちょっと真面目なことも考えつつ、しかしともかくここは笑っとけ!!!的な感覚で観られたのも心地良かった。

 こういうお祭りのような作品がもっともっとあれば、観劇の裾野も広がるような思いを抱きつつ、とにかく笑いに満たされた時間に感謝。

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